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事業譲渡の手続き、日本の場合

事業譲渡の順番、株主総会の承認、従業員の承諾、顧客の個人データの扱い、買い手が求める記録を、条文に沿って説明します。

  • 更新日2026-10-12
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このページの内容
  1. 事業譲渡と株式譲渡、どちらで進めますか?
  2. 事業譲渡は、どの順番で進みますか?
  3. 顧客の個人データは買い手に渡せますか?
  4. 従業員や取引先には、いつ何を伝えますか?
  5. 買い手は、どんな記録を求めますか?
  6. 次に何をすればよいですか?

事業譲渡は、会社が事業の全部、または重要な一部を別の会社に譲る手続きです。株式会社が事業の全部を譲るなら、効力が生じる日の前日までに株主総会で承認を受けなければなりません。買い手と条件の話を進める前に、この承認と次の順番を押さえておいてください。

記録がどこまで揃っているかは、先に確認表で見られます。

事業譲渡と株式譲渡、どちらで進めますか?

株式譲渡は、株主が持っている株式を売る方法です。事業譲渡は、会社の事業を買い手に移す方法で、株式会社の場合は株主総会の承認が必要です。

買い手が欲しいものが、特定の事業の資産と契約なのか、会社そのものなのかで方法が変わります。どちらが合うかは、税理士と弁護士に一緒に相談してください。この条文は株式会社を対象にしています。合同会社や個人事業主の場合は手順が違うことがあるため、司法書士か弁護士に確認してください。事業承継の記録の考え方は、こちらで整理しています。

始める前に日本の非上場株式の評価方法、日本の記録保存期間をお読みください。

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事業譲渡は、どの順番で進みますか?

  1. 譲る資産、契約、従業員の範囲を書き出します。
  2. 従業員の承諾を取ります。会社が雇用契約上の権利を第三者に譲り渡すには、労働者の承諾が必要です(民法625条1項)。
  3. 株主に通知します。通知は効力が生じる日の二十日前までに出します(会社法469条3項)。公開会社は、この通知を公告で代えられます(会社法469条4項)。
  4. 株主総会で承認を受けます。承認は効力が生じる日の前日までに得ます(会社法467条1項)。買い手が特別支配会社である場合は、この承認は要りません(会社法468条1項)。
  5. 反対した株主の買取請求に備えます。反対株主は、株式を公正な価格で買い取るよう会社に請求できます(会社法469条1項)。請求の期間は、効力が生じる日の二十日前の日から前日までです(会社法469条5項)。
  6. 契約書の譲渡条項を確かめ、取引先に通知や同意を取ります。
  7. 顧客の個人データを渡す範囲と利用目的を決めます(次の節を読んでください)。
  8. 効力が生じる日に事業を引き渡し、契約を締結します。
  9. 売り手の商号を続けて使うかを決めます。買い手が商号を続けて使うと、売り手の債務も買い手が弁済する責任を負います(会社法22条1項)。登記すれば、この責任を負わないことを示せます(会社法22条2項)。
  10. 引き渡しのあと、売り手は同じ事業を行えない期間があります。同一の市町村とその隣接地域では、譲った日から二十年間です(会社法21条1項)。

顧客の個人データは買い手に渡せますか?

個人情報保護委員会のガイドラインは、事業承継に伴って個人データが提供される場合、提供先は第三者に該当しないとしています(ガイドライン3-6-3(2))。個人情報保護法も、合併その他の事由による事業の承継に伴う提供を第三者提供の例外にしています(法27条5項2号)。このため、買い手に渡すときに第三者提供の同意は要りません。

ただし、買い手が使えるのは、承継の前に決められていた利用目的の範囲です(ガイドライン3-1-4)。

契約を結ぶ前の交渉段階で、買い手の調査に顧客データを見せる場合も同じ扱いになります。ただし、相手に安全管理措置を守らせる契約を結ぶ必要があります(ガイドライン3-6-3(2))。どの顧客データを、どこまで渡すかは別に決めてください。個人データを渡す前の整理は、こちらにまとめています。

従業員や取引先には、いつ何を伝えますか?

  • 従業員: 雇用契約を移すには、一人ひとりの承諾が要ります(民法625条1項)。
  • 株主: 効力が生じる日の二十日前までに、事業譲渡をする旨を通知します(会社法469条3項)。
  • 反対した株主: 株式の買取りを請求してくることがあります(会社法469条1項)。
  • 取引先: 契約書の譲渡条項に沿って、通知や同意を取ります。
  • 債権者: 買い手が売り手の債務を引き受けない場合、譲渡後に売り手と買い手の双方から第三者へ通知すると、その旨が示せます(会社法22条2項)。
  • 債務を残したまま譲る場合: 債権者を害することを知って事業を譲ったときに限り、残された債権者は買い手に請求できます(会社法23条の2第1項)。

買い手は、どんな記録を求めますか?

買い手が確認しやすいように、次の記録を揃えておくと交渉が進めやすくなります。

  • 株主総会の承認の記録(会社法467条1項)
  • 株主への通知と反対株主からの買取請求の記録(会社法469条)
  • 従業員の承諾の記録(民法625条1項)
  • 顧客データの一覧、利用目的、取扱い方法(ガイドライン3-1-4、3-6-3(2))
  • 債務と契約の一覧、商号を続けるかどうかの決定(会社法22条)
  • 売り手の競業を制限する約束(会社法21条2項)。特約の効力は、譲った日から三十年以内に限られます。

元の記録は別の場所に保存し、買い手に見せる写しを作ってください。閉鎖や譲渡で残す記録と消す記録の分け方は、こちらを読んでください。

次に何をすればよいですか?

まず、譲る会社が株式会社かどうかを確かめ、譲る資産と契約を書き出してください。次に確認表で記録の抜けを見ます。事業の価格帯の目安が必要なら、価格帯の確認フォームから始められます。

出典: 会社法、民法、個人情報保護法、個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」。

数値はベンダーの公式ドキュメントと公開書類に基づきます(2026年10月に確認)。